石巻市雄勝町 日本一の何と呼ばれていた?
「ニュース検定」 -池上彰-
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【ニュース検定】池上彰さんの解説
特集 大震災から10年①
池上解説【巨大防潮堤】
日本一美しい漁村だった石巻市雄勝町
東日本大震災で、最も多くの犠牲者を出したのは、宮城県石巻市です。
3553人が亡くなり、いまだ418人が行方不明のままなんです。
その石巻市にある雄勝町(おがつちょう)は、かつて「日本一美しい漁村」と呼ばれていましたが、震災の後、風景が一変しました。
巨大な防潮堤が建設されたのです。
かなりの高さで、9.7mあります。
このコンクリートの壁が、全長3キロにも渡って続いているのです。
かつて、聞こえた波の音は聞こえません。
住民の高橋恒子さんの話
どこ見ても壁だらけなんだもの
まるで刑務所の塀の中を歩いているみたい嫌だ 嫌な感じだけど、仕方ないから
どこにも行く所ないから
まるで刑務所の塀の中を歩いているみたい嫌だ 嫌な感じだけど、仕方ないから
どこにも行く所ないから
高橋さんは、津波で自宅を流され、今は高台にある災害公営住宅に暮らしています。
日課となっている散歩をしていても、気持ちは晴れません。
日課となっている散歩をしていても、気持ちは晴れません。
この巨大防潮堤に、違和感を抱いているのは高橋さんだけではありません。
実は、雄勝町では賛否が大きく分かれたまま、防潮堤の建設が進んでしまったのです。
巨大防潮堤が建設された背景
住民たちは当初、住宅や道路を高台に移す計画を提案していました。
そうすれば、高い防潮堤は必要なく、美しい景観も守られるからです。
ところが、この計画は早々に頓挫しました。
それは、国や県が道路の高台移転については、お金を出さなかったからです。
宮城県は、道路の高台移転は、復旧の対象外で、事業方法がないとしました。
一方で、国は防潮堤の建設費なら、特別に全額負担(120億円)する方針を打ち出しました。
"1日も早い復興を国の負担でやれるうちに"という掛け声のもと、海沿いの道路を残して、防潮堤が作られることになったのです。
ところが、この防潮堤が出来ても、津波に対する住民の不安感は拭えません。
明日は、その理由についてお伝えします。
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