
高市総理演説に中国が反発 旧敵国条項とは?
【けさ知っておきたいNEWS】
テレビ朝日グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
高市総理が国連総会の一般討論演説で、国連憲章に残る「旧敵国条項」を早急に削除すべきだと訴えました。
これに対し、中国側は日本の軍事化への警戒を示し、強く反発しています。
高市総理は、2005年の国連総会で「敵国」という表現を国連憲章から削除する決意が確認されていることを踏まえ、旧敵国条項は削除されるべきだと主張しました。
日本の国連加盟70周年にも触れ、これまで国連に貢献してきた日本の立場を強調しています。
旧敵国条項とは
国連憲章は第二次世界大戦直後の1945年に発効しました。
その中の第53条や第107条などに残るのが、いわゆる「旧敵国条項」です。
第二次世界大戦で連合国と敵対した国に対しては、一定の条件下で国連安全保障理事会の許可を得ずに措置を取れると読める内容が含まれています。
国連憲章には具体的な国名は書かれていませんが、当時の日本、ドイツ、イタリアなどが想定された条文です。
つまり、80年以上前の国際情勢を前提にした規定が、現在も国連憲章の文章として残っていることになります。
国連も「時代遅れ」と認識
旧敵国条項については、今回初めて問題になったわけではありません。
1995年の国連総会では、この条項が時代遅れになっているという認識を示す決議が採択されました。
この際、反対票はありませんでした。
さらに2005年の国連首脳会合では、加盟国の首脳が国連憲章から「敵国」への言及を削除する決意を確認しました。
高市総理も今回の演説で、この2005年の合意を根拠として削除を求めています。
ただし、ここで重要なのは、削除する方向性を確認しただけで、実際の国連憲章改正までは実現していないという点です。
なぜ中国は今回反発したのか
中国は過去の国連決議では旧敵国条項の見直しに反対していませんでした。
それにもかかわらず、今回、高市総理の発言に強く反発している背景には、最近の日中関係の緊張があるとみられます。
中国側は、日本の安全保障政策や台湾有事をめぐる発言を問題視し、日本が再び軍事化へ向かっていると批判しています。
そのため今回の旧敵国条項をめぐる反発も、条文そのものだけではなく、日本の防衛政策や台湾情勢を含めた現在の日中関係と結びついていると、中国の政治・外交が専門の東京大学大学院 川島真教授は分析をしています。
削除には非常に高いハードル
では、旧敵国条項を実際に削除することはできるのでしょうか。
国連憲章を改正するには、国連総会で加盟国の3分の2以上の賛成が必要です。
それだけではなく、その後、加盟国の3分の2以上が国内で批准しなければなりません。
さらに重要なのが、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアという安全保障理事会の常任理事国5カ国すべての批准が必要になる点です。
つまり、中国が反対すれば、実際の条文削除は極めて難しくなります。
この手続きの厳しさが、過去に削除する方向で合意しながら、今も旧敵国条項が残っている大きな理由です。
きょうのNEWS解説まとめ
旧敵国条項は、第二次世界大戦直後の国際情勢を反映して作られた規定です。
日本やドイツなど旧枢軸国を想定した内容ですが、国連自身もすでに時代遅れとの認識を示し、2005年には削除する決意まで確認しています。
高市総理の今回の発言は、その過去の国連決議を踏まえて、実際の削除を求めたものです。
一方、中国は現在の日中関係や日本の安全保障政策への警戒を背景に反発しています。
問題は、国連憲章の改正には常任理事国5カ国すべての批准が必要なことです。
中国との対立が続く中、旧敵国条項を実際に削除するハードルは依然として非常に高いといえそうです。
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