
江戸でも大流行!
初夏を彩るハナショウブの魅力
【GOOD!いちおし】
グッド!モーニング「Good!いちおし」のコーナーで紹介された内容をご紹介しています。
初夏を彩るハナショウブの魅力
初夏を彩る優美なハナショウブ、同じように見える花にも同じように見える花にもよく見ると驚くほどの個性があります。
江戸の人々を夢中にさせた奥深い魅力に迫りました。
「横須賀しょうぶ園」
初夏を彩るハナショウブの奥深い世界
初夏に見ごろを迎える花のひとつが「ハナショウブ」です。
白や紫の花が一面に咲き誇る風景は、梅雨の時期ならではの美しさがあります。
今回の「グッド!いちおし」では、神奈川県横須賀市にある「横須賀しょうぶ園」が紹介されました。
園内では今、ハナショウブが見ごろを迎えています。
横須賀しょうぶ園には、およそ400品種、14万株もの花菖蒲が植えられています。
一見すると同じように見える花でも、近づいてよく見ると、色の入り方や花びらの形、咲き方に驚くほどの個性があります。
横綱級の美しさを誇る名花「追風」
最初に紹介されたのは、ハナショウブの中でも最も美しい品種「追風」です。
白地に紫の筋がすっと入り、そのグラデーションが非常に美しい花です。
遠くから見ると青紫色の花のように見えますが、近づいてみると白い地に細かな紫の線が重なっていることがわかります。
その繊細な色の重なりが、全体として気品ある青紫色に見せているのです。
ハナショウブには、花の美しさを競う文化があります。
その中でも「追風」は、お相撲でいえば横綱級ともいえる存在。
すっと入った線の美しさや、白と紫のバランスが見る人を引きつけます。
園内には、絞り模様や霧のように細かく色が入るもの、花びらが大きく広がるもの、優雅に垂れ下がるものなど、さまざまなハナショウブが咲いています。
同じハナショウブでも、品種ごとにまったく違う表情を見せてくれるのが魅力です。
つぼみのようで満開?
江戸時代の変わり咲き「白竜の爪」
続いて紹介されたのは、江戸時代の変わり咲きの傑作といわれる「白竜の爪」です。
一見すると、まだつぼみのように見える不思議な姿をしています。
花びらが開かず、キュッと尖った形をしているため、これから咲くのではと思ってしまいますが、実はこの状態が満開なのだそうです。
3日ほど経つと、通常の花菖蒲のように花びらが開きますが、これは白竜の爪にとってその状態は満開を過ぎた終わりかけの姿。
つぼみのように見える姿こそが、一番の見ごろなのです。
江戸時代には、少し変わった花を楽しむ園芸文化がありました。
こうした変わり咲きの品種を競って育てることが流行し、人々は花の個性を楽しんでいました。
「白竜の爪」という名前も、尖った花びらの形が竜の爪のように見えることから付けられたものです。
江戸の「ハナショウブ」ブームを支えた松平定朝
ハナショウブが江戸で大流行するきっかけを作った人物として紹介されたのが、伝説の旗本の松平定朝です。
ハナショウブの品種改良に生涯を捧げた人物で、「菖翁」とも呼ばれました。
松平定朝は、およそ60年にわたってコツコツと品種改良を続け、約300品種ものハナショウブを作り出したといいます。
その情熱によって、江戸の人々の間でハナショウブ鑑賞が大きな人気を集めるようになりました。
定朝は、ハナショウブの独自の育て方や名花の特徴を記した本「花菖培養録」も残しています。
そこには、新芽が出た時期や花が咲き終わった後に、魚を原料とした肥料を与えることなど、細かな育て方が記されていました。
さらに、自ら作り出したハナショウブも本に掲載、中でもお気に入りは「宇宙(おおぞら)」という品種です。
現在では「幻の名花」ともいわれ、なかなか育ちにくく広がりにくかった珍しい花だったそうです。
スタイリッシュな「長井鷹の爪」と輝く「愛知の輝」
次に、昭和になって発見された珍しい変わり咲きも紹介されました。
それが「長井鷹の爪」です。
野生の原種に近い姿を持つ品種で、花びらの先が鷹の爪のように細くなっています。
先端にかけて濃い紫色になり、中央には白が入る姿は、どこか王冠のようにも見えます。
一方、これまでの品種とはまったく違う明るさを放っていたのが「愛知の輝」です。
名前の通り、そこだけ日の光が当たっているように明るく見える品種です。
愛知県の人が品種改良して作ったことから、この名前が付けられたそうです。
鮮やかな黄色みを帯びた花色は、園内でもひときわ目を引きます。
ハナショウブというと紫や白のイメージが強いですが、こうした明るい色の品種もありハナショウブの世界の広さを感じさせます。
あやめ・かきつばた・花菖蒲の見分け方
ハナショウブとよく似た花として知られるのが、あやめとかきつばたです。
歌川広重の代表作に描かれた「堀切の花菖蒲」の花についても、実はかきつばたではないかという説があるそうです。
では、あやめ・かきつばた・ハナショウブはどう見分ければよいのでしょうか。
ポイントは、花びらの付け根の模様です。
ハナショウブは中央に黄色い点が入っていて、あやめは名前の通り網目模様があるのが特徴です。
そして、かきつばたは白い筋が入ります。
ただし、江戸時代には現在ほど厳密に分類されていたわけではなく、もともと近い仲間でもあります。
広重の絵に描かれた花が本当に何だったのかは、見る人の想像に委ねられているのかもしれません。
また、「菖蒲湯」に使われる菖蒲は、ハナショウブとはまったく別の植物です。
ハナショウブはアヤメ科ですが、菖蒲湯の菖蒲はサトイモ科です。
葉が似ているため名前に「菖蒲」とつきますが、花を比べるとまったく違います。
ハナショウブの原種は、田んぼのあぜ道などに生えていた花とされますが、実は土の上でも育つ植物です。
江戸時代には水面に映る姿を楽しむ鑑賞方法が人気となり、その文化が広がったことで、今のように水辺に植えられることが多くなりました。
「横須賀しょうぶ園」では6月21日まで「花ショウブまつり」が開催中!
400品種ものハナショウブを一度に楽しむことができます。
江戸の人々を夢中にさせた奥深い花の世界に触れられる初夏にぴったりのスポットです。
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