
中国の輸出規制で「タングステン」争奪戦?
【けさ知っておきたいNEWS】
グッド!モーニング「けさ知っておきたいNEWS」のコーナーで解説されたNEWS内容をご紹介しています。
この解説のあと「けさ知っておきたいNEWS検定」が出題されます。
中国の輸出規制でタングステン争奪戦?
中国によるレアアースやレアメタルの輸出規制が、日本の産業にも大きな影響を与えています。
高市総理はG7サミットで、中国の輸出規制を念頭に、名指しで深刻な懸念を表明しました。
特に注目されているのが、今年2月以降、中国から日本への輸出が止まっているレアメタルの一種「タングステン」です。
タングステンは熱に強く、炭素と反応するとダイヤモンドに次ぐ硬さを持つとされています。
その特性から、自動車部品を加工するドリル、半導体の配線、さらには弾薬まで、幅広い分野で使われています。
産業の土台を支える重要な金属だけに、中国の輸出規制は日本にとって大きな課題となっています。
タングステンは身近なダーツにも使われている
タングステンは工業製品だけでなく、意外な身近なものにも使われています。
そのひとつがダーツです。
ダーツの手で持つ部分は「バレル」と呼ばれますが、この部分にタングステンが使われているものがあります。
ダーツはボードに何本も刺さるため、投げたダーツ同士がぶつかり、バレル部分が削れやすくなります。
そのため、強度の高いタングステンが重宝されています。
さらに、タングステンには重さがあるという特徴もあり、真鍮製のダーツと比べるとタングステン製のダーツはずっしりとした重みで投げやすいと感じる人も多いといいます。
また、密度が高いため細くても重さのあるダーツを作ることができ、狙いやすさや扱いやすさの面でも、タングステンはダーツに向いた素材なのです。
輸出規制でタングステン価格が急騰
今、タングステン製のダーツの中には、価格が2倍以上に上がっている商品もあるといいます。
その背景には、タングステンそのものの価格高騰があります。
中国の輸出規制が強化されて以降、タングステン価格は上昇を続け、半年間で3倍以上になっています。
タングステンは世界各地に埋蔵されていますが、埋蔵量、採掘量ともに中国が世界一です。
特に採掘量では中国が約8割を占めているとされ、中国への依存度が非常に高い金属です。
今回の輸出規制は、中国でタングステンが不足しているから行われているわけではありません。
しかし、日本が規制の対象になっていることで、国内企業にとっては調達が難しくなり、価格上昇という形で影響が広がっています。
日本が注目するタングステンのリサイクル
中国一強の状況の中で、日本企業が活路を見いだそうとしているのが、タングステンのリサイクルです。
使い古したドリルの先端などにはタングステンが含まれており、こうした使用済み素材は「タングステンスクラップ」と呼ばれます。
タングステンスクラップを集め、化学処理で溶かしたり粉末状にしたりすることで、再び資源として利用できますが、今の日本ではこのスクラップが十分に集まっていないといいます。
そのため、日本は中国ではなく、アメリカからタングステンスクラップを大量に輸入しています。
今年1月から3月の3カ月間で、去年1年間の24倍もの量を輸入しています。
国内リサイクル体制の強化が課題
不思議なのは、日本国内にもタングステンスクラップが存在するはずなのに、なぜ足りないのかという点です。
レアメタルに詳しい専門家によると、日本では国内で発生したタングステンスクラップを回収しているものの、リサイクルせずに海外へ輸出しているケースがあるといいます。
理由は、国内でリサイクルするにはコストが高く、海外に輸出した方が利益になりやすいためです。
しかし、中国からの輸入が止まっている今、これまでのように海外へ出してしまうだけでは、国内の安定供給につながりません。
今後は、国内でスクラップを再利用する仕組みを強化し、備蓄を進めることが重要になります。
今日のNEWS解説のまとめ
タングステンは、自動車部品の加工、半導体、弾薬、そしてダーツにまで使われる重要なレアメタルです。
中国が採掘量の大半を占める中で輸出規制が強まったことで、日本では価格高騰や調達不安が広がっています。
今後の鍵となるのは、国内でのリサイクル体制の強化です。
使用済みのタングステンスクラップを海外へ流すのではなく、日本国内で再利用し、備蓄を進めることが求められています。
資源を海外に頼りきらない仕組みづくりが、日本の産業を守る大きな課題になりそうです。
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